■ 下記、Facebookより全引用(改行等は適宜修正した)
【大拡散希望】
下記Ⅰ~Ⅱの通り、原告の議論を修正します。より分かりやすくなったと自負しています(私見)。
- 衆院選の一票の格差は、H28年改正法(アダムズ方式のよる人口比例の定数配分採用)により、2022年衆院選で、全人口(1億2700万人)の48%が50%の全衆院議員を選ぶところまで来た。
人口比例選挙(即ち、一人一票選挙)に、残り2%(=50%-48%)にまで肉薄している。 - 参院選(比例区)の一票の格差(現時点で、3倍)が、衆院選(小選挙区)の一票の格差(1.9倍)になれば、参院選のも、衆院選と同じく<全人口の48%が、全参院議員の50%を選出することに変わる。
最高裁がその旨判決すれば、人口比例選挙(一人一票選挙)に向けて大きな前進となる。
Ⅰ
- 【衆議院の多数意見が参議院の多数意見と対立したとき、衆議院の多数意見が、参議院の多数意見に優越して、議案の可決、否決を最終的に決めること】が、憲法上、下記のとおり、3個ある。
①予算の決定(憲法60条)
②条約の承認(同61条)
③内閣総理大臣の指名(同64条)
即ち、上記①~③については、衆院の多数意見と参院の多数意見が対立したとき、最終的には、衆院の多数意見が、参院の多数意見に優越して、最終的に議案の可決、否決を決する。
この憲法60条、61条、64条の衆院の決議優先のルールは、【衆院が、「民意を適切に反映する」衆院選によって選出される国会議員の立法機関であること】を前提としている、と解される。
この【衆院選が「民意を適切に反映する」ということ】が重要である。 - ところで、この重要な論点たる【衆院選の「民意を適切に反映する」程度(即ち、一票の格差の程度】を見ると、H30年最高裁大法廷判決(衆)は、『現行の衆院選の一票の格差は、1.98倍である。しかし、この1.98倍の一票の格差は、H28年改正法(アダムズ方式採用)により、2021年以降、是正されるので、H30年現行の衆院選の一票の格差(1.98倍)は、違憲状態でない』旨判示している。
Ⅱ
- A
「法律案は、この憲法に特別の定めのある場合を除き、両院で可決した時は、法律となる。」(憲法59-条1項)。
従って、法律案は、衆参両院の可決が揃わない限り、法律にならない。
換言すれば、衆院が法律案の議事を可決しても、参院が同法律案の議事を可決しなければ、法律にならないし、その逆の場合(即ち、参院が法律案の議事を可決しても、衆院が同法律案を可決しない場合)も、法律にならない。
即ち、衆院も参院も、それぞれ、同等に、相手方たる院(即ち、参院または衆院)の提案した法律案を法律にするか否かの最終的決定権を有している。
このことは、下記B~Cの示す通り、過去72年間の国会史によって証明されている。 - B
- 1947年~今日迄の72年間の国会史の中で、重要な法律案の成立/不成立につき、衆院議員の多数意見と参院議員の多数意見が最後の時点迄(即ち、両院の議事の決議の時点迄)、対立したことが、合計15個のみあった。
その全15個の法律案は、参院議員の多数意見どおり修正されて、法律となったものが、9個であり、参院議員の多数意見が衆院の議案を可決ししなかったため、法律が廃案となったものが、6個である(即ち、合計15個)。
法律案につき、衆院の多数意見と参院の多数意見が最後まで対立した15個の事例では、参院議員の多数意見が、衆院議員の多数意見に対して、15戦15勝であった。
再言すれば、衆議院の多数意見と参議院の多数意見が対立したこの15個の事例では、必ず、参議院の多数意見が、衆議院の多数意見の優越して、法律の成立または不成立を最終的に決定した。
- 1947年~今日迄の72年間の国会史の中で、重要な法律案の成立/不成立につき、衆院議員の多数意見と参院議員の多数意見が最後の時点迄(即ち、両院の議事の決議の時点迄)、対立したことが、合計15個のみあった。
- C
- この歴史的15個の重要な法律の成立、不成立の歴史的事実(即ち、過去72年間で、衆議院の多数意見と参議院の多数意見が最後まで対立した事例が15個のみあり、その15個の事例では、必ず、参院の多数意見が、衆院の多数意見に優越して、法律の成立または不成立を最終的に決したという事実)は、【参院の一票の格差が、衆院の一票の格差と同等でなければならないこと(即ち、参議院選挙の一票の較差が、衆議院選挙の一票の格差に劣後してはならないこと)】を示している。
- なぜならば、法律案の成立、不成立につき、衆議院の多数意見と参議院の多数意見が最後まで対立した15個の事例ではその一票の格差が衆院選のそれより大きい参院選(即ち、衆院選に比べて、「民意を適切に反映する」程度が弱い参院選)で選出される参院議員の多数意見が、必ず、「民意を適切に反映する」ことを前提とする衆院選(上記Ⅰの憲法60条、61条、64条 参照)で選出される、衆院議員の多数意見による決議に優越して、法律の成立/不成立の議決を最終的に決するという、憲法で予定しないことが生じるからである(上記15個の歴史的事実参照)。
- D
ところで,2019年の本件参院選の一票の格差は、3.00倍である。
本件参院選の一票の格差(3.00倍)は、現行の衆院選の一票の格差(1.98倍)(上記Ⅰ(2)参照)と同等でない(即ち、現行の衆院選の一票の格差(1.98倍)に劣後している)。
よって、本件参院選は違憲である。
以上
升永英俊